桜葬通信6 July 2006 vol.6

  第1回桜葬メモリアル 06年4月2日(日)開催
  ありがとうございました。また来年も桜の下でお会いしましょう。

 第1回桜葬メモリアルと春のフォーラムの同時開催を決めたのは昨年(2005年)12月上旬のこと。新年早々に発行した会報「E-net」68号で実行委員会メンバーを公募して第1回実行委員会(2月11日/土・祝)を開催。この日は、エンディングセンターがどんな会か百聞は一見にしかずと、はるばる松戸から参加されたOさん(即日入会されました)、昨年桜葬完成後すぐに会員になられた鈴木さん、小手川さん、毎年春と秋のフォーラム実行委員として活動されている角竹さん、木村さん、入倉さんと、代表、副代表、事務局の山口が集まり、それぞれのイメージや希望を話し合うことから準備が始まりました。  会議には出られないけれどお手伝いしますよ、と連絡をくださった小森谷さん、早川さん、岡さんの応援もあり、心強いスタートでした。
 実行委員の役割分担が決まり、2回目以降は現地で、計3回の実行委員会を開催。お招きするゲストが決まり、オリジナル曲の作曲を依頼することや、地元音楽家による献奏、献花、献灯の準備、交流会の企画等、着々と準備が進みました。
 そして当日。あいにくの空模様ながら、町田いずみ浄苑の桜は満開、桜葬墓地の背景となっている雑木林の山桜も咲き始めていました。
 この場に集うもの同士、初対面でも相通じるところで心と心の交流が生まれ、ゲスト、スタッフ(実行委員)、関係者の思いと心づかいが一つになって、手づくりならではの感動に満ちた春の1日となりました。また来年も桜の下でお会いしましょう。実行委員の皆さま、お疲れ様でした。
 あの感動をもう一度。当日撮影していただいたDVDが完成しました。会員の方で当日参加できなかった方、もう一度ご覧になりたい方への貸し出しをします。ご希望の方は、町田事務所(TEL:042-850-1212)までお問い合わせください。



  エンディングセンター全国「桜葬」ネットワーク  住職日記

仏さまは喧嘩するのか/千葉県・真光寺住職 岡本和幸
 習俗・俗信は時代とともに変化します。たとえば苗字の違う仏や宗派の違う仏を同じ仏壇にまつってはいけないということが言われますが、いずれも仏教的な根拠はありません。いろいろな仏様やお位牌をまつっているお寺では特に何の問題も起こりませんが、家庭の仏壇ではそれがしばしば生きている人たちの喧嘩の種となることから、このような俗信が生まれたのでしょう。
 内容にもよりますが、私はこの手の相談には「仏様は喧嘩しませんよ」とお答えすることにしています。かつてはそれで納得する方が多かったのですが、最近は「仏様だって嫌でしょう」とか、「私が恨まれますから」と言う方がいて困惑します。どうも最近の仏様は我が強く、人を恨んだりたたったりするようです。生きている人の考え方次第で仏様の有り様も変わるということでしょうか。
 せっかく人として生をうけたのだから、一番すばらしい理想的な人である仏様をしっかり見つめて生きましょうと説くのが仏教です。もしそういう気持ちを自分自身が持っていたら、仏様が喧嘩をするはずはありません。
 天候不順が続き工事は遅れがちですが、ようやく根付いた芝生の一面の緑が曇り空に映え、真光寺の樹木葬墓地もだんだん形になってまいりました。楽しみな反面、長い時間をかけ、自然豊かな山へと戻す作業の第一歩が始まったことを痛感しております。
袖ヶ浦市川原井634/電話0438-75-7414

葬儀の風景4/千葉県・天徳寺住職 二神成尊
 質素で温かい葬儀をめざして、寺が樹木葬契約者Sさんの夫の葬儀を引き受けた。Sさんの希望で会場は寺の本堂。祭壇なし、花だけで飾る。棺と骨壺はもっともシンプルなもの。食事をどうするか。一般的には通夜振る舞いに寿司とオードブル、葬儀後には精進落としの箱膳を用意する。しかしこれも形式。寿司や揚げ物、見た目重視の冷めた箱膳よりも、親族が心をこめておにぎりと煮物、お吸物を作ってはと提案するが、Sさんは難色。親類の手前、形式に準じたいとのこと。家族だけでなく親類にも理解がないと理想的葬儀はできない。
 ではせめて安くて美味しい料理をと、海岸沿いにあるアジアン創作レストランから仕出しを取ることになった。その店も葬儀用仕出しは初めてだとか。ベトナムの生春巻やタイの辛い春雨サラダ、インドネシアのナシゴレンなどが並ぶこととなる。これならおにぎりや煮物のほうがいいのではないかと内心思うが、まあいいか。タイで出席した葬儀の食事を思い出す。
 最後に僧侶のお経をどうするか。Sさんも亡くなったSさんの夫も無宗教。お寺との付き合いはなかった。樹木葬の契約者の多くが同じく無宗教。
 私はSさんに「今まで仏教とご縁がなかったのだから、葬儀だけ仏教徒になるのは不自然で形式的ですよね。樹木葬を選ばれたのだから、本堂に流れ込む風の音や雨の音、虫や鳥の声を皆で聞いて、故人を偲びませんか」と言う。さらに「自然の声はただだけど、僧侶のお経にはお布施が付いてきますから、やめましょう。自然に帰るのですから、戒名も要りませんね。自然の癒しと鎮魂の力の前では人間の計らいなど取るにたりませんよ」と助言。なるべく残される人にお金は取っておいたほうがいい。それが故人の願いだと。しかしSさんは「親類もいるし友人も来る。お寺が会場なのにお経なしでは不自然ですから、お願いします」ときっぱり。
 私はそれでも食い下がり、「では通夜のお経はなしで、家族だけで火葬前夜をしんみりと送りましょう。また火葬場供養もやめ、葬儀場での供養だけでどうですか。葬儀料も3分の1の8万円で済みます」と言う。結局Sさんは葬儀と火葬場供養を希望。こうして樹木葬会員の最初の葬儀の準備は整った。
 火葬前夜。Sさんの親族約10人が花で飾られた故人のまわりで静かに時を過ごしていた。弔問もなく一切の形式的なものもない。私は体調を崩して布団にいた。すると本堂前でSさんの孫たちが花火を始めたようだ。大人たちは本堂前の階段に腰掛けて眺める。そのあかりが私の寝床の障子に映る。夏の終わりの花火によって、火葬前夜のもの悲しさがあたりを包んだ。そして亡くなった人への送り火のような最後の線香花火が終わると、遺族は故人のまわりで寝床につき、寺は静寂に包まれた。
 それは印象深い火葬前夜として今も私の心に刻まれている。どうも通夜のお経よりお寺での線香花火のほうが故人を偲ぶのに役立つようだと考えつつ、私も眠りについた。
いすみ市大原山田1886/電話0470-66-1258


萩の寺便り/山口県・宝宗寺住職 三上隆章
 4月に「馥林祭」と称しました年1度の合同供養祭と、百草の会総会を盛会裏に終えることができまして、大変喜ばしく思っています。昨年には朝日新聞の全国版、6月初めにはNHKの中国地方版で「宝宗寺樹木葬」が紹介されまして、ご見学にいらっしゃる方も大変多くなりました。それに伴い、境内に乗り入れる車が増えたため、本堂前の桜の老木が元気をなくしてしまい、樹木医に治療をしていただいています。元気になって来年も満開に花を咲かせてくれるとよいのですが。樹木葬墓地の木々はのびのびと育っています。
萩市福井上1927/電話0838-52-0521


枯枝に、ふくろう/神奈川県・成就院住職 鳴海善通
 ふくろうがいますね」。自然観察員のSさんがそう私に語りかけてきた。蛍発生地を巡回した帰り道のことである。
「エ? ふくろう?」その懐かしい響きが私の耳に残った。ふくろうの声を聞いたのは、いつの頃だったろうか。その夜以来、私の観察が始まった。
 ある夜、彼は突然やってきた。枝垂桜の枯枝の上だった。静かに、悠然とこちらを見据えていた。対峙すること数十分。音もなく彼は、闇にまぎれ去った。翌日もその翌日も彼は来て、ぎこちなく枝にとまるのだった。
 桜にふくろうの絵は見たことがないが、彼は枝垂桜が気に入ったのか、まるで桜葬墓地のシンボルであるかのように、毎夜訪れてきた。
 梅雨に入り、彼の姿は見えなくなった。「自然を残したい」その一念で始めた境内の緑化は、こういう形でこたえてくれた。数日後の晴れた日、植木職人が境内の手入れをしている背に、私は声をかけた。 「あ、その枯枝は切らないでください。そこは彼の指定席だから」
茅ヶ崎市甘沼473/電話0467-52-6704


新体制のごあいさつ/大阪府・大蓮寺住職 秋田光彦
 大蓮寺塔頭の應典院は、さまざまな文化事業を推進するユニークなお寺として知られていますが、このたび2代目の主幹に、山口洋典さんが就任、秋田光彦前主幹は應典院住職となって、新体制で臨むことになりました。
 山口さんは昭和50年生まれの30歳、大阪大学大学院を修了、博士号を持つ俊才です。これまでは勤務地であった財団大学コンソーシアム京都を拠点に、さまざまな大学やNPOとの協働事業に取り組んできた実績を持ちます。
 去る5月2日には、京都の法然院で僧侶の入門式である「得度式」を行い、浄土宗の宗徒となりました。今後は、應典院の実質的な運営責任者として、陣頭指揮を執ります。
 また、3月付けで大蓮寺・エンディングを考える市民の会事務局長・田中いずみさんが退職、新年度より山口さんがその席を引き継ぐこととなりました。3年間にわたり、ご活躍いただいた田中さんにはこの場を借りて、お礼申し上げるとともに、今後の大蓮寺・應典院の新体制にもご期待ください。
大阪市天王寺区下寺町1-1-30/電話06-6774-0113
○トークイベント「これからの〈供養〉のスタイルを考える」のご案内
[日時]8月5日(土)13:30〜16:30 [会場]應典院本堂ホール [参加費]500円 [ゲスト]葬儀サポートセンター・岩貞光祐さん、手元供養専門店「方丈」店長・尾形由紀さん他 [主催]大蓮寺・エンディングを考える市民の会 [お申し込み]06-6771-7641

編集:エンディングセンター桜葬プロジェクト 発行:井上治代