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死後の自立と桜葬
死と葬送の生前準備が、文化として広がりはじめています
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市民講座などで「葬送の生前準備」や「エンディングノート」をテーマに、エンディングセンターへの講師依頼が頻繁に入るほか、マスコミからも注目され、さまざまな視点からの取材協力を求められることがあります。また、大学の卒論で「桜葬」を取り上げたいとの依頼に応え、8月、9月の桜葬見学会参加者の皆様にはアンケートにご協力いただきました。
9月29日放送のNHK「新トーキョー人の選択」は、「納得! 私らしいお葬式」。このレターの発送作業日が放送予定日なのですが、ご覧になりましたでしょうか。
番組の中で、会員のまつばらけいさんが、ご自身の体験を語られています。3年前、いまは亡きお母様がご自身の死を目前に、自分の葬儀をどうしてほしいか、そして35年前に生後わずか2日で亡くなった弟さんと自分たち家族のお墓が心残りだということが話題になったそうです。孫がいないご両親にとって死後の自立はまさに自分たちの問題でした。そこで具体的な行動の第一歩として、ご両親とともにエンディングセンターの相談室(世田谷区)を訪ねてこられたのです。樹木葬に大変興味を示され、趣味のガーデニングの延長線上で「何の木がいいかしら」と明るく話し合われました。そして、お母様が亡くなられて1年後の昨年6月、町田のエンディングセンター桜葬に埋葬されたのです。「『満足よ』という亡き母の声が聴こえる」はE-net66号に寄稿していただいた文章のタイトルです。死と向き合う日々の中で、家族の絆を深めつつ、死後の自立と自分らしさを考えて、一つひとつ選択していくプロセスが大切だと教えていただきました。
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エンディングセンター全国「桜葬」ネットワーク 住職日記
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●子どものころの風景/千葉県・真光寺住職 岡本和幸
私は広島県の小さな城下町に、お寺の子どもとして生まれました。お寺は標高350メートルほどの山裾の、90段ほど石段を登った高台にあり、市内を一望することができました。遠くは瀬戸内海の水面までみえるとても景色の良いところでした。お寺の裏手には経蔵と呼ばれる二重の塔があり、そのまわりは檀家さんたちの墓地でした。かつての墓地は区画が広く、思い思いに植えられた木が二重の塔に照り映えて美しい風景を醸し出していたように記憶しています。しかし瀬戸内の港町にも高度成長の波が押し寄せ、檀家数は増加し、墓地もどんどん拡張されていきました。私がカブトムシと遊んだ山の秘密基地は取り壊され、おやつ代わりだったアケビの実も採れなくなりました。さらに墓地の木は落葉するからという理由でどんどん伐られ、石とコンクリートでかためられた無機質な空間が山の緑をどんどん蝕んでいきました。
真光寺の樹木葬墓地は時代の要請に応じたものでもありますが、もしかしたら私は子どものころに慣れ親しんだ空間をこの千葉の里山に再現しようとしているのかもしれません。先ごろついに完成した樹木葬墓地に立ち、そんなことを思いました。
千葉県袖ヶ浦市川原井634/電話0438-75-7414
(写真/真光寺の樹木葬墓地)
●家で死ぬことの意味/大阪・大蓮寺住職 秋田光彦
むろん家族だけでは限界があります。ましてや宗教家がいれば安楽な看取りができる、なんて誰も信じていませんから、それには末期をサポートする多様な専門家、医師や看護者、葬儀社、僧侶などの協働が必要です。同時に、それについてこれからの地域共通の課題として、市民全体を巻き込む論議が必要となるでしょう。他者の死に、地域のボランティアが自然にかかわるような時代が、本当にやってくるのでしょうか。
本企画では、「死化粧」「おたんこナース」の著者小林光恵さんをメインゲストに、医師、葬儀社、僧侶の各ゲストがそれぞれの立場から、看取りを語ります。また、ユニークなのは、京都南病院の院内劇団のみなさんが出演、看取りにかかわる専門家たちが演劇表現を通して「看取り」を「演じ」ます。劇場寺院・應典院ならではの企画でしょう。お墓の問題は、必ず生前の問題に直結してきます。末期をどのように自分らしく迎えるのか。
トータルな視点から、エンディング・デザインについてともに考えます。
大阪市天王寺区下寺町1-1-30/電話06-6774-0113
●葬儀の風景/千葉・天徳寺 二神成尊
質素で温かい葬儀をめざして、天徳寺が葬儀屋をはじめた。依頼者は樹木葬に夫を埋葬予定のSさん。葬儀当日を迎えた。きらびやかな袈裟を身に着け、わけのわからない儀式を行う葬儀はやめ、花のみで飾られた遺体を取り囲むようにして、私と遺族と友人の皆でお経を読むことにした。
戦前戦後、開拓団として南米に渡る日本人は岸壁に残る兄弟姉妹と涙をながしながら蛍の光を歌った。死出の旅路の時には、昔から多くの人が願いを込めてきたお経をただただ読むのが我々にできる唯一の供養なのだろう。だからお坊さんまかせでなく皆で読む必要がある。読む前にお経の解説もする。お経を読んだ後に、生きる意味、死ぬ意味、故人の人生について皆で考える。葬儀は単なる儀式ではない。そのあと火葬場で荼毘に付し、また寺に戻り精進落し。費用を抑え、美味しい食事ということで、レストランからエスニック料理を取り寄せた。すべてが終わったのは午後4時。葬儀の準備から僧侶としての葬儀、司会進行、食事の手配等まで葬儀社任せにしない方法は確かに疲れた。しかし、Sさん家族は心から喜んでくれた。
寺でありながら戒名は付けずに俗名、祭壇なし。花のみでかざる。お経は遺族と共に。食事は見栄えに偏ることなく、費用を抑えながらも美味しいものを用意。大きな遺影はやめてスナップ写真を使用。火葬場にはマイクロバスでなく、各自の車で赴く。派手な霊柩車は用いず、シンプルなバン型。費用はすべて合わせて80万円になった。全国平均の葬儀費240万に比べれば格安。しかし安ければよいわけではない。中身が大事なのだ。
千葉県いすみ市大原山田1886/電話0470-66-1258
●桜葬ネットに参加して/鳥取・正福寺住職 渡辺大修
今年の3月、桜葬墓苑を開苑しました。墓苑には、3〜4mの枝垂桜、八重桜、ソメイヨシノ、大山桜の4本が植樹され、4月には見事な花を咲かせました。合葬区画と100の個別区画が設けられ、枝垂桜の下には「私たちは桜の花に甦ります」と刻んだ大山の自然石が置かれています。
今年の夏、お兄さんを八重桜の下に埋葬されたKさんは、「自然が、桜が、とても好きな兄でした。蝉時雨の森で、桜の下で、本当に安堵していることでしょう。春には花になった兄に会いに来ます」と話され、親族の皆さんも、お別れの悲しさもありますが、同時にとても清々しい面持ちです。花となった人にまた会うことができる。自然と一体となった癒しの空間に故人とともに浸っている。そんな時をともに過ごさせていただきました。
鳥取県西伯郡大山町茶畑238/電話0859-54-3860
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