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相続手続Q&A・第2回 「子どもなく、夫が死亡。相続人18人現れた!」

あの時書いた遺言書が解決!!

あるセミナーで、一人の女性(72歳)と出会いました。手には戸籍謄本と通帳を何冊かお持ちでした。ご相談をおうかがいすると、2年前に亡くなった夫の相続財産の手続きを行うとのこと。相続財産は通帳2冊と証券会社の特別口座1つ、自宅、そして昔購入した滋賀県の山奥の山林。それらの名義変更手続きなので、わりと簡単にできると思っておられたようです。しかし、このご夫婦にはお子様が1人もいませんでした。

この場合に、財産を承継する相続人は、配偶者であるこの女性以外に、亡くなった夫の兄弟姉妹(第3順位)が存在していたのです。8人兄弟の末っ子であるご主人のきょうだいは、すでに亡くなられている方もいて、戸籍調査を行った結果、18人もの相続人が現れました。姪、甥を探していく作業も大変ですが、それ以上に、18人の意見を調整していかなければならない「遺産分割協議」を、一般の方が行っていくこともとても大変な作業になります。

不動産の名義変更や預貯金の解約手続き、並びに株券の名義変更の手続きには、必ず相続人全員の戸籍謄本と印鑑証明書が必要です。18人の相続人の中には、子どもの頃から疎遠になっている人もいるため、ほぼ初対面の感覚で上記書類をお預かりしなくてはいけません。「生前にもう少し仲良くしておけばよかったわ……」などと言っても、もう遅いのです。

しかし、この方のお話をよく聞くと、昔にご主人と一緒に行った勉強会で、遺言書を書いたことがあるとのこと。そこでその遺言書を探していただいたところ、発見できたのです。

「私の財産をすべて妻花子に相続させる。
平成15年12月18日 相続太郎 印」

と簡単ではありますが、遺言書の用件を満たしたものでありました。

遺言書さえあれば、相続人全員の実印や印鑑証明書は必要なく手続きができるので、相続手続きを行ううえでは、非常に役に立ちます。手続きを行う法務局や銀行では、水戸黄門の印籠のような効果があるのです。

自分で書いた遺言書の場合は、家庭裁判所で「遺言書の検認」を請求する必要があります。この手続きですが、相続人全員の戸籍謄本ならびに、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本が必要となり、収拾するまでに時間を要します。

今回の場合は、18人の相続人の分でしたので、2カ月かかりました。最初は、遺産分割協議がまとまりにくいご相談だと思っていましたが、遺言書があったおかげで、無事スムーズに行うことができました。

また、遺言書には、大きく分けて、自分で書く「自筆証書遺言」以外に、公証人が作成する「公正証書遺言」があります。こちらの遺言書では、家庭裁判所での遺言書の検認手続きが不要ですので、よりスムーズに手続きができます。しかも公証役場で原本を保管しますので、紛失のおそれもありません。
今から作成するという方には、公正証書遺言の作成をおすすめします。

相続手続支援センター大阪支部所長の長井俊行

≪スタッフから≫
E‐net89号のリレーエッセイに寄稿いただいた、相続手続支援センター大阪支部所長の長井俊行さんが、相続手続きの疑問に答えてくださいました。

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