樹木葬・桜葬のエンディングセンター(東京・大阪)

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スタッフBOOKレビュー

スタッフBOOKレビュー

エンディングセンタースタッフの読書レビューです。

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在宅死のすすめ 生と死について考える14章
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網野晧之著 幻冬舎ルネッサンス新書 880円(税込)

著者は病院の勤務医を経て、僻村の診療所に勤務、そして在宅医療を展開する開業医として活動している。
集団検診の有効性への疑問、病院死における最後の2カ月間に高騰する医療費など、現代の医療制度の矛盾を指摘する論理は極めて明快だ。
そして、多くの人々の最期を看取った経験から、在宅医療、在宅看取りが最善であるとの結論に達し、自分が生きてきた自分の家で穏やかに死の到来を待つことこそ、だれもが望む幸福な死のかたちであると説く。
すなわち、高知県の疋田善平医師が提唱された「満足死」という概念がこれに当たる。つまり、「死にゆく本人が満足、看取った家族も満足、周りの関係者も満足した死」が満足死である。それを可能にするのは、地域での看取りとボランティア活動だという。
さらに、安楽死というタブーにも踏み込んでいる。第10章の「安楽死を実行した医師の告白」は、安楽死を望む末期がん患者と医師との壮絶なやり取りが綴られていて、圧巻だ。死を主題としているが、死を考えることは生を考えることに他ならない。まさにこの書はその手引きそのものである。(スタッフM・H)

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オスカー -天国への旅立ちを知らせる猫
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デイヴィッド・ドーサ 著 栗木さつき 訳
 早川書房 1,680円(税込)

 アメリカのナーシングホーム(日本でいうと老人ホームのような施設)での実話をもとにしたエピソードが綴られている。副題にあるようにこの施設で飼われている「オスカー」という名前の猫は、患者の死を予知し、亡くなるまで寄り添うという。
オスカーの不思議な才能を信じられなかった著者(施設の医師)は施設で亡くなった認知症患者たちやその家族に聞き取りを行う。猫のオスカーは、旅立とうとしている患者のかたわらで寝ずの番をし、患者さんだけでなくその家族にも癒しを与えてくれたという。そこから導き出された、終末期の認知症に立ち向かう患者とその介護にあたる家族の話は心を動かされる。
認知症という病は、それが親であるか、配偶者であるかによっても、介護する側の家族の思いは複雑だ。自分がその立場になったとき、愛する人が変わり果てていく様を受け入れ、最期まで看取ることができるのか。その時にオスカーような猫がそばにいてくれたらどんなに心強いことだろう。残念ながら、我が家の愛猫にそんな才能はなさそうだ。(スタッフM・H)

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「四十九日のレシピ」
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伊吹有喜 著  ポプラ社  1,470円(税込)

 読後の印象は、このようなエンディングノート(49枚のカード)もあるんだ! ひとが大切な人を喪ったときの寂しさ・空虚な心持ちをもっと上回るくらいの爽やかさと温かみ、さらに気力を取り戻す熱田家の父娘の心情がそのまま伝わってきた本です。
 「四十九日のレシピ」とは、71歳でなくなった妻の乙美(おとみ)が、自分の死後に残された夫良平(家事は全くできない)が困らないように日々の暮らしで必要な料理・掃除・洗濯・・・アレコレのコツをイラスト入りのカードにしたものです。単語カードのように片隅に穴を開けてリングでまとめてあります。このカードを持って熱田家を訪れたのが、乙美の教え子である井本という日焼けと金髪といういでたちの女の子。乙美から前金を貰って四十九日まで熱田家の家事を請け負い、熱田父娘と共に遺言である「四十九日の大宴会」を成し遂げる功労者でもあります。
 少女たちのためのボランティア更生施設で働いていた乙美は、絵が得意で絵手紙を教えており、家事を教え躾もしていた人でした。そのような暮らしの中で夫と百合子を気遣ってコツコツとかきためたのがこのレシピ(処方箋)なのでした。
 エンディングノートというと、葬式・財産などの段取りや諸手続きなどのことをおもいえがきがちです。が、自分の死後に打ちひしがれる夫や離婚の危機に直面している娘に、一枚一枚のレシピ(処方箋)から日常の些細なこと、大好きな料理や洗濯のたたみ方そして乙美の生き方を思い起こさせながら、再び気力を取り戻させる、という49日間の話でした。(スタッフT・T) 

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最後まで読んでいただきありがとうございます。

貴方のおすすめ本があればお教えください。

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