お知らせ
7月3日2014 UP
『上野千鶴子の選憲論』
上野千鶴子 著
集英社新書
740円(本体)
時々話題に上っては消え、上っては消える憲法改正論議。「改憲」VS「護憲」。
そこに、社会学者・上野千鶴子が、第三の選択肢として新たに「選憲」という斬新な切り口で、横浜市弁護士会主催の「憲法講演会」において論じた講演をもとに書き下ろしたのが本書です。
憲法学者ではない上野千鶴子が、一人の主権者として、「憲法の精神」、主権者が権力を縛るものが「憲法」であり、権力が国民を縛るものではない、ということを前提に、まず、「憲法前文」から、天皇、安全保障、個人情報、教育、宗教、家族、婚姻など多岐項目にわたり、現「日本国憲法」と「自民党草案」を比較検討しています。
憲法をめぐる過去の歴史的事実や、若い評論家の意見なども引用し、また「自民党草案」で適切な言葉に変更して現実に即したものには評価をしています。
必ずしも「護憲」か「改憲」のどちらかではなく、現在の憲法を功罪共に検討したうえで、もう一度選び直しましょうという「選憲」。
憲法論議というと非常に難しく感じられがちですが、私たちの生活に直結する基本中の基本であることを、本書はわかりやすく気づかせてくれるでしょう。 【田中恵里子】